鼻茸を伴う慢性鼻副鼻腔炎とは
鼻には、空気の通り道の鼻腔とそれにつながる4つの空洞(副鼻腔)があります。
かぜなどをきっかけに副鼻腔に炎症が起こり、その症状が発症してから3カ月以上経過したものを「慢性鼻副鼻腔炎」と呼びます。
さらに、副鼻腔に鼻茸(鼻ポリープ)ができた状態を「鼻茸を伴う慢性鼻副鼻腔炎」と呼びます。
〈参考資料〉鼻副鼻腔炎診療の手引き 日本鼻科学会会誌 2024;63(1), 1-85
〈副鼻腔の構造〉
鼻茸を伴う慢性鼻副鼻腔炎で起きている炎症の87%は2型炎症*が関与していると報告されています1)
- *
- 2型炎症とは、好酸球などを中心に、感染から細胞を守る免疫反応のことです2)
1)Stevens WW et al:J Allergy Clin Immunol Pract 2019;7(8), 2812-2820
2)澤津橋基広:耳鼻 2024;70,32-43
2)澤津橋基広:耳鼻 2024;70,32-43
鼻茸や鼻の粘膜中に白血球の一種である「好酸球」の数が多いほど手術などの鼻茸の治療をしても再発しやすいといわれています3)。
3)Tosun F et al:Ann Otol Rhinol Laryngol 2010;119(7), 455-459
鼻茸を伴う慢性鼻副鼻腔炎と好酸球性鼻副鼻腔炎
鼻茸を伴う慢性鼻副鼻腔炎は、好酸球が血中や鼻茸に多くみられる好酸球性鼻副鼻腔炎とそれ以外の非好酸球性鼻副鼻腔炎に分けられます。好酸球性鼻副鼻腔炎は、鼻の中に鼻茸が複数でき、手術をしてもすぐに再発する難治性の慢性鼻副鼻腔炎です。
日本国内の医療機関15施設による疫学研究で、慢性鼻副鼻腔炎で内視鏡下副鼻腔手術を受けた患者さんを対象に、鼻茸を伴う割合を調べたところ、好酸球性鼻副鼻腔炎(672例)の患者さんの91.5%に鼻茸がみられました。
好酸球性鼻副鼻腔炎
(672例)
- 対象
- 2007~2009年にJESREC研究に参加している15施設において、内視鏡下副鼻腔手術を受けた慢性鼻副鼻腔炎患者1716例のうち好酸球性鼻副鼻腔炎672例
- 方法
- 多施設共同、レトロスペクティブ研究。術前の患者背景および病歴を分析した。鼻科専門医は、術前に症状および徴候についてすべて評価した。血液サンプルを採取し全血球計算を行った。なお、篩骨洞または鼻茸の粘膜下層の好酸球数70個/HPF以上を好酸球性鼻副鼻腔炎とした。
- 本研究の限界
- いくつかの値は、誤ったファイリングと医療記録の電子コピーの不足により欠落していたため、これらの欠落値に多重補完法を適用した。
- JESREC:日本難治性好酸球性慢性副鼻腔炎疫学調査
- HPF:顕微鏡の400倍、1視野のこと
Tokunaga T et al:Allergy 2015;70(8),995-1003より作図